ゴジラはこんなに前から死んでいた

kakeru33072004-12-04

■「ゴジラVSスペースゴジラ」★1/5


東宝は、小遣い銭稼ぎでやっているホームセンターや住宅展示場の宣伝にはどんどんゴジラを使うけれど、結局のところゴジラに対する愛情なんて全く持っていないんだろうな、と思った。

長年子供相手のビジネスをやってきているはずの映画会社が、「子供だましでは子供もだまされない」なんてあたりまえのテーゼを知らないわけがない。そのへんが、どうも「やる気の無さ」に見えてしまうのだ。

それよりも何よりも、このいい加減な仕事をした脚本家の柏原寛司が、その後二本もゴジラを書いている(『ゴジラ2000ミレニアム』『ゴジラ×メガギラスG消滅作戦』)こと自体、東宝ゴジラをただの金ヅル程度にしか考えてないことの証明のような気がしてしまう。
スペースゴジラのネーミングだとか、G対策会議での強引な説明台詞にしても、上っ面だけのやっつけ仕事にしか見えない。

この脚本では演出をどうがんばってもあれが精一杯だったように思える。
助監督と監督をいったりきたりしていた山下賢章が、この仕事を手がけたことは、彼にとっては不幸だったのかもしれない。

でも、「脚本家・柏原寛司」はこの後もそれなりに仕事をしていることを考えると(不評の物ばかりだけれど)、ビジネスの世界にはいろいろあるんだろうな、とも思った。


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※以下はネタバレ




モゲラが登場することや、そのモゲラが宇宙空間を煙を吹き出しながら移動するあたりは、まさに東宝トクサツのお家芸。伝統でもいいしオマージュでもいいけれど、そういうものが見られたのはうれしい。

でも、なんで合体ロボなの? それに、搭乗員のヘルメットの巨大なMマークは何?
それに、半世紀前の『宇宙大戦争』でだって、宇宙戦闘機は巨大なブースターをつけて発進したのに、モゲラはあんな貧弱な「バーニア」でどうやって第一宇宙速度を出すんだ?

こういう映画を撮って平気でいられる人は、ツッコミどころ満載だけれどもワクワクして楽しめる『地球防衛軍』や『宇宙大戦争』なんて映画を鼻で笑う人たちのような気がする。

そんな映画屋に「ガワ」だけ持ち出されたモゲラはやっぱり不憫な気がした。


(2004/12/04・CinemaScapeゴジラVSスペースゴジラ」に投稿)