ボートはボート、ファックはファック。そして戦争は……

イラクの戦況が激しくなって以来、自衛隊が活動を大幅に縮小したこともあってか、イラク自衛隊関連のニュースはあまり見かけなくなっている。もっとも「自国が支給した武器で武装したゲリラに軍が襲撃を受けた」なんてニュースが事実上の検閲を受けてしまっているアメリカにくらべたら、それでもマシな方なんだろう。

相次ぐ台風や先日の地震と、足下で大きな事件が続いていたこともあって、イラクのことには関心が薄くなっていたかもしれない(アメリカ軍がニュースをコントロールしていることももちろん影響しているだろうし)


そして、誘拐はまた起こった。

大使館員やジャーナリストの車が襲撃される。誘拐された民間人が斬首される。情報部員が焼かれて吊される……どれももちろんあってはいけないことだ。
でも、戦地ならこういうことは起こるだろう。
軍の刑務所での捕虜虐待だって、それはあるだろう、「戦争だから」 

だからこそ、日本はこの戦争に参加してはいけなかった。
アメリカの尻馬に乗って軍隊を派遣したりしてはいけなかった。

日本政府と世論は、アフガン空爆を「対テロ戦争」という名目で支持してしまった。朝日新聞までがアメリカ寄りの論調だったのだから、あの「熱狂」は今から振り返ってもよくわからない。

しかし、イラク戦争を支持するその前に、どこかで踏みとどまることはできなかったか?
そうなれば洋上燃料補給どころの話では済まないことくらい、想像できなかったのだろうか。
自衛隊に戦死者が出ていないこと自体が、偶然、幸運の類だというのに、現地の民間人の生命財産が安全なわけがない……「戦争だから」

そして、日本の民間人旅行者・香田証生さんが誘拐された。
日本がアメリカに隷従して軍隊を派遣したことに対して、どれだけ疑問や問題があったところで、それが民間人が誘拐されて当然という理由にはならない。
前回の事件同様に、これはあってはいけないことだ。




しかし、一方ではこうも考える。
「戦争だから」そういうことは起こるだろう。
そしてそれは、戦地に「不要不急の民間人旅行者がいたとしたら」というありえない前提についての話。

ところが、こうして事件は起こった。
「(人質の男性は)旅行者という印象。理解に苦しむ(町村信孝外相)」
こんなコメントが出るのも当然だろう。

自衛隊派遣の是非と、今回の誘拐事件での「撤退要求」は、全く別の次元の問題だ。
国家の政策が一個人の人命によって左右されることはない。これは、内容以前の原則論の問題だろう。

もちろん、あってはならない、起こってはならない事件だった。
平和的な解決を、ただ一心に祈りたい。
前回の人質事件でも支払われたという身代金を、今回も払うことになるのかもしれない。
部分的には疑問も感じるけれど、その線で事件が解決されるとしたら、それは一つの望ましい結果だとは思う。

しかし、撤退要求を拒否した結果、ビデオメッセージにあるように斬首されることになったとしても、悲しくは思ったとしても、そう驚くことはないだろう。
もし、今までの報道のように本当に単なる民間人旅行者だったとしたら、戦地にそうやって出かけていったことこそが問題とされるべきだ。そこが、企業の駐在員が犠牲になった米国人や韓国人のようなケースとはずいぶんと違ってくる。

そして、おそらくまた、例の「自己責任」という言葉が、持ち出されるときが来る。
それ自体が日本の社会と国民にとって望ましい議論にはならないし、どう転んでも良い方向には進みようがないだろう。
今回の事件で、これからその代償として費やされる政治的、社会的に費やされるコストを思えば、その原因は、発端はどこにあるのか、ということを考えずにはいられない。


前回の三人組の誘拐事件のときは、左右双方から「自作自演」「ネガティブキャンペーン」ということが随分といわれた。
「米軍が三人を拉致しているアジトを無人偵察機で特定したが、米軍が突入するとの打診に対し、日本政府は人質の生命にこだわって強く拒否した」といった報道もあったが、
「日本政府は全く解決する手段を持たなかったので『自己責任』というネガティブキャンペーンを行った(池澤夏樹)」なんて見方もあったくらいだ。

だからこそ、当の人質だったその人たちは、「彼等のデジタルビデオで撮影された映像が、彼等のノートパソコンで編集しアップロードされた」など言われたことについてハッキリと説明するべきだったはずだ。
どんな真実であれ、彼等しかそれを知らないのだから。


そして今回の事件でも、既にこのような話が出てきている。

おそらくこの事件は、どんなふうに進展しても、解決しても、前回のように色々なことが起こるだろう。そしてその論議の大半は、誰にとっても純粋な消耗に近い行為になるような気がする。

とにかく、今は香田さんの無事を祈るだけだ。


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衛星テレビ局アルジャジーラが放映し、イスラム過激派「アルカイダ聖戦団」のウェブサイトで公開している香田さんの映像データ、あれって日本のサーバにアップロードされてる! AFPによると、使用されていたのは無料アップロードサーバの「ぬるぽ」だと!

検証したところ、映像データは27日午前3時55分に転送され、確かに映像データが存在している(10/27/2004 10:10現在)。

http://nullpo.mydns.jp/up/updir/278.wmv

なぜ日本のローダなんだろ???? IEなどのブラウザを使用し、日本語の説明画面からデータファイルをアップロードする仕組みになっているから少なくともデッタをアップしたヤツは日本語ができるってことだよな。アルカイダ聖戦団には、日本語が分かるメンバーがいるのか? それとも日本に支援者がいるのか?

……なぞだ。

10/27/2004 10:36

情報ソース
AFP via Yahoo! Japan : Al-Zarqawi group says kidnapped Japanese in Iraq: website
海外ボツ!News