「シュリ」★3/5

地上派をエアチェックした「シュリ」鑑賞。 
封切公開当時に、ヒロインについての決定的なネタバレを書いていた雑誌記事(たしか情報誌の新作映画紹介コーナー)を読んでしまったのがなんだか不愉快で、今まで見るタイミングを逃していた。

さて、たしかに面白かったし、いろいろ考えさせられたけど、公開当時の「大絶賛」みたいな空気を思い出すと、「?」なんて印象もあった。
展開の読めてしまうストーリー、恋愛関係の描写のうすっぺらさ、無限弾倉を持っている不死身の北工作員。作りはけっこう雑だし、日本映画にあきらかに欠けているものは、せいぜい市街地での堂々の銃撃戦場面くらい……のはずなのに、はずなのに!

細かい描写のクオリティは日本映画の方が上質だと言い切ってもいいと思う。でも、映画作品そのものとしてのグランドデザインの組み立て方で、圧倒的にかなわない。
こういう映画を作るんだ! みたいなパワーでグイグイ力押しができるストレートさこそ、韓国映画のパワーだと思う。  
日本映画から、マーケティングや広告代理店、妙に力の強い芸能事務所や、ベタなタイアップをとっぱらったら、すこしはそんなエネルギーがスポイルされずにすむ……のかなあ。

でも、この映画に届いていない日本映画があるからといって、全ての日本映画が負けているわけではないはず。そういう意味では、この映画はちょっと持ち上げられすぎだったと思う。
はやりものをやたらと持ち上げちゃうのもまた、日本メディアと日本人の悪いところなんだけど。

とりあえずテレビ局に「大作」映画を作らせるのをやめさせたいなあ、とか思った。

情報機関OPのオフィスのパソコンのモニターや、武装チームのボディアーマーにデカデカと「OP」ってロゴが入っているのは、どう考えてもウルトラマンみたいな「トクサツ」ノリ。
あと、液体爆弾の設定や造型、描写とかも、仮面ライダーから連綿と続く「秘密結社の秘密兵器」の文法で作ったみたいな感じがして妙に笑えた(脅威を除去する方法がシンプルで強引なとこあたりもトクサツっぽい)。

あと、水槽の中の魚はどれもこれも……って描写はハリウッドでもできないですね(ビスケットの魚のアレも)。でも、結局そういうプリミティブなエネルギーに圧倒されちゃったんだと思う。