夢のプレミア相場工場

湘南から引っ越してきてからかれこれ3年くらいになる。
家からはわりと近所だし、知り合いの店があったりするから中野にはちょくちょく行くのだけれど、まんだらけの本店には行ったことがなかった。
いざ出かけてみると、まあいろんな意味で驚いたのだけれど、あんなに細分化した店舗展開をしているとは思いもしなかった。全体的な印象としては秋葉原ラジオ会館みたいだ(でも、当のラジオ会館に最後に行ったのも「PC-88」を使っていたころだから、いったいどんだけ昔だ! って話なんだけど。3.5インチのカラーフロッピー(真っ赤!)を見つけたのがうれしくて、大喜びで買ってきた)。

それにしても……まんだらけそのものの印象感想は山盛りあるけれど、それ以上にとんでもなかったのは「中野ブロードウェー」そのものだった。
まんだらけ類似店はたくさんあるし、格闘ゲー専門のゲーセンもある。“フツーの”というにはどこかズレているような中古レコード屋があるかと思うと、ロレックス屋、ちっちゃな会社の事務所……とにかく雑多でとんでもないチャンプルー空間だ。食べ物屋もたくさんあるんだけど、これがまた間口の狭いアヤシイ店ばかり(アジアとか中東のバザールみたいで……なんて言ってしまうのは大げさかもね、だけど)。
あと、とんでもなくホコリだらけの吹き抜けに三色旗(フレンチでもイタリアンでもないアレ)を掲げている店があったのは、例によって杉並区らしい風景ってとこか。

ガッカリしたのはコスプレ店員が一人しか見あたらなかったことだった(あれは……ファイブスター???)。渋谷のまんだらけでは、メーテルがいたことがあったから、ちょっと期待してたんだけどな。土日に来たらまた違うんだろうか。

ぷらぷらながめていると(というか、コーナーはフロアをまたいであちこちにあるから結構歩き回る)ある特撮テレビ番組のムックに3,000円(!)なんて値段(1993年発売当時の定価は1,000円)がついているのを発見。そっかー、それならこんどヤフオクに出してみよう……と、投機相場みたいなシカケにそうやって踊らされちゃうのがいけないんだよなぁ。
古本とかグッズのプレミアは、需給バランスで決まるだけではなくて、売る側が巧妙に射幸心をあおった結果、というのもあると思う。

さくら出版の事件(cf.「漫画原稿を守る会」)のずっと前、何で読んだのかは忘れたけれど「高橋留美子の生原稿がまんだらけで売られていたことがあって、それを小学館は買い取って取り戻した」なんて話があった。
真偽はわからないけれど、そういうこともあるかもしれないなあ……なんて思うのは、小学館の大掃除の日(学校みたいに全社的に設定される)に、小学館ビルに居合わせたことがあるからだ。
フロアごとにまとめられたゴミの多いこと多いこと! そしてそのほとんどが、サンプルで配られたような本や雑誌、ビデオやCD、宣材のグッズが堆く積もった宝の山(それこそヤフオク的な)なんだから驚いてしまう。
で、その中に、マンガ好きな人ならまあ名前も絵柄もわかるような人の原稿が無造作に入ったファイルが、ゴミの山から顔をのぞかせていたのだ。
生原稿だった。
手にとって見てみたいのはやまやまだったけれど、それこそ「李下にナントカ」ってなもので、早々にそこから立ち去った。でも、これが大先生の原稿だったらと思うと……アブナイアブナイ。

初めて目撃したコスプレ店員は、SS親衛隊をものすんごくドレスダウンしたみたいなおねーさん(画像上手側)のコスチュームを着ていた……着ていたというか、上半身はこのジャケットのビスチェではなく、上半身はサスペンダーだけ(!)というとんでもないやつで、多分両面テープででも接着してたんだろう。
でも、そのとき一番印象に残ったのは、両肩にカットしたレーザーディスクをはめこんでいた「マサルさんセクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん)」姿の男性店員だったんだけど。

そういえば、渋谷のまんだらけには昔、ちょっとしたステージがあって、コスプレ店員がゆる〜くアニソンのカラオケを歌うショータイムがあったりしたんだけど、あれもまたすごかったなぁ。