大江戸線の立ち寝小便男

うれしくてついついカメラを持ってお出かけ。とはいうものの、仕事に出かけたくらいではそうそう被写体はみつからなかった。
仕事場の帰りに夜遅い大江戸線に乗る。そこで、あまりにもスゴイものを見てしまったのだけれど、さすがにシャッターは切れなかった。

人が小便を垂れ流しにしている……なんてのは、一昔前の荒んだ新宿西口地下なら、まあよくあった話。
ところが地下鉄の中なんだから、これはもうどうしようもない。しかも、一応はちゃんとスーツを着たサラリーマンだ。
椅子の脇の手すりにもたれている泥酔爆睡のオトウサン。やっちゃったんですよ、ジョボジョボと。服着たまんま(ポロ〜ンと出してからならそれはそれで困るけど)。
かわいそうなのは滴を浴びせられたオトウサン。こちらも爆睡中なので気づかない。

サーッと半径2メートルくらいの円が“水たまり”の周りにできたとき、次の駅に滑り込んだ地下鉄。
近づいていった若い男性が、立ちション男の腕を手すりから引き剥がし「何やってんだよ、とっとと降りろ!」とホームに突きだした。

トイレに行った夢でも見てたんでしょうか? って、それじゃあ子供の寝小便レベルだよね。
日本社会のポテンシャル低下とか言っちゃったら、大げさすぎるんだろうか。

ほんとにかわいそうだったのは、まともに滴を浴びちゃったオトウサン。
しばらくしてから目覚めた彼は、袖とか膝が濡れているのと、足下の水たまりを、ただただいぶかしげに見るだけだったのでした。