「オレンジデイズ」最終回

終わってみれば……というか、そもそもドラマの枠組み自体そうだったのだけれど、北川悦吏子が今までの作風をセルフカバーすることに終始しただけだった。
同じ題材をあえてもう一度取り上げるなら、「愛していると言ってくれ」以上のものを見せて欲しかった。
リンゴがオレンジだったり、線路や道路を挟んでたり、新幹線が出発したり、「海外行き」がファクターになったり……どこかで見たアイテムやディテールが出てくるたびに、テンションは下がって行った。ゴングショーだったら、最終回までとても持たなかっただろう。

今回は「若い世代の恋愛モノをやりたかった」と、北川は言っていたようだけれど、たしかに最終回のシークエンスにかけての「オール・オア・ナッシング」だったり「シュトルム・ウント・ドランク」な二人は、確かに若者ならでは、という怒濤の恋愛だったとは思う。
でも、それにしたって一般的なシンパシーを得られているかは疑問。
テーマにしろエピソードにしろ、あざとさにかけては一流の北川だけれど、「やさしさ」だとか、「どうしようもない心の動き」みたいな、人の心の柔らかいところを感じさせることは苦手に見える(もしかしたら、本人は得意だと思いこんでいるかもしれないけれど)。
豪華キャストを出すだけ出しておいて使い捨てにするのは作り手の勝手だろうけど、だからといって視聴者の気持ちとか盛り上がりまでバッサリやるのは勘弁して欲しい。

自分がまだ十代だったりしたら、彼等の不器用だけど真剣な恋愛に、シンパシーを感じたり、身につまされたりしたのかもしれないけれど、登場人物よりも北川の方に年齢が近い今となっては、作り手の意図とかシカケのようなものにどうしても感覚が向いてしまった。
つまり僕は、このドラマを見るには歳をとりすぎていたんだろう。