日本核武装論の「必然」

日本という国が、潜在核保有国として認識されているのは国際的には常識の一つ。
何しろ、科学技術も、資金もある。おまけにあれだけ事故の多い高速増殖炉にこだわり続けているのだから、「プルトニウムがそんなに欲しいのねー」と「邪推」されても文句は言えない。

それこそ唯一の被爆国として、非核三原則を高らかにかかげ、国際社会へのアピールをしていく資格と責任という大きな問題はある。
しかし、在日米軍の核で首根っこを押さえられている「被占領国」としては、安全保障の問題として核武装の問題は避けては通れない。

アメリカが日本で運用している核がどこに向けられているかと考えたとき、「それが日本だ」なんて言ってしまえばもちろんファンタジー
でも、911のときのことを思い出して欲しい。他国領土であたりまえのように軍隊が展開できるのは占領軍だけだ。
彼等は今も「進駐軍」のままアジアの沖縄を、日本の東京を抑えている。彼等の戦術核は、その「必要」さえあれば日本国民と国土に対して使われるだろう。

さて、対ソ脅威論が根強かった80年代に、日本が核武装を研究していた、という記事が出た。
ニュースとしては無価値と言ってもいいような些末なものだ。日本がどんなレベルの核武装も研究していないといえば全くのファンタジーだし、核物理学者が「日本は非核三原則があるので平和利用のことしかわかりません」なんて欺瞞が通用するわけもない。
全く個人的な話になるけれど、知人の息子さんは防大からアメリカに留学して、ICBMの研究をやっていたくらいだ。

それでは、今さらこのニュースがなぜ出てきたのか? それを結果から逆算して考えてみる。

このニュースで困るのはもちろん防衛庁サイドだし、国政的には対外強硬的なタカ派だろう。
平和運動、非核運動にとって格好の攻撃材料を与えることになる。

じゃあ誰がトクをするのか? ヒントになるのは「運搬手段も備えた戦術核や戦域核には米国の支援が必要」という一文だ。
この記事は、日本の自主独立なんてできないんですよ、アメリカの核の傘の中でおとなしくしていなさい、という親米保守プロパガンダだろう。

イラク情勢、北朝鮮情勢、アメリカは日本に独自に動かれては困る。つまり、イラクから撤退されたり、対北朝鮮アジア諸国と共同歩調をとられると困る……というアメリカに尻尾を振っている親米ポチ保守筋の流したニュース、ってとこだろう。


今回のイラク問題で、日本はアメリカからの「独立」をまたもつかみ損ねた。
日本にとっての外交が、諸外国との関わりではなく、アメリカへの隷従を意味し続ける限り、それこそアメリカが風邪を引いただけでこんなに高いガソリンを買わされるハメになってしまう。

とりあえず、ブッシュは負けて欲しいし、小泉も早いとこどうにかなってほしい。
もちろん、その次がケリーで岡田だというのなら、まあ消極的な選択肢だなぁ、って思うしかないのだけれど。

もちろん、アメリカをどうこういう前に、アメリカ市場を前提にビジネスモデルを構築してるトヨタやホンダなんて企業こそ、獅子身中の虫国賊、って図式もあるのが厄介なところ。